エレクトロニクス工作室
No.91 デジタル電圧計
1.はじめに
このような電圧計は「部品」としてアナログで針を振らせれば十分であるし、デジタルテスターや電圧計キットでも使えば十分と思っていました。ところが、CPUのA/Dコンバータを使ってみると自由自在に作る事ができますし、応用も広がって行く事に気が付きました。もちろん、分圧も表示方法も思いのままです。この「気づき」が自作では楽しいものですし、レパートリーの引き出しを増やす事によって、作れるものの幅を広げて行く事になります。
このようにして作った、写真1の2チャンネル電圧計を紹介します。今のところは単なる電圧計ですが、この先へのステップと考えています。
2.回路
写真2がNo.2で紹介した開発用のボードを使用して実験をしている様子です。図1がその結果で決めた回路です。基本的にはAVRのATtiny861AとキャラクタLCDだけになります。
オハイオ州の砂利のドライブをインストールする方法
LCDは電圧を表示するだけですので、8文字×2行を選びました。とりあえず2CHだけとして上下で表示するようにしました。1CHだけではテスター以下ですが、2CHあるとそれなりの存在感が出てきます。16文字×2行でも使えるのですが、表示が間延びしてしまいます。もちろん、有効に4CH化にする事も可能でしょう。
電源がニッケル水素4本ですので、そのまま基準にしたのでは安定とは言えません。そこで、LEDをパイロットランプとして点灯させ、両端の1.68Vを基準にしました。一応電圧計ですので、簡単ですが安定化は重要です。最終的には半固VRで合わせますので、1.68Vが1.7Vでも1.8Vでも大差ありません。ハード的に合わせられる範囲かどうかだけです。但し、低ければ分解能が高くなるかというと違うようで、低すぎると上手く動作しません。1.68Vは下限に近いようですが、データシートを探しても記述は見つかりませんでした。
AVRのATtiny861AにはA/Dコンバータが11回路入っています。そのうち8ピンのADC8と9ピンのADC9を入力に使用しています。このAVRのA/Dコンバータは10ビットです。つまり、0〜1023を出力します。電圧計として20V位までを読もうとしましたので、これを50で割る事にしました。すると0〜20.46Vが0.02Vステップとなってちょうど良い事になります。
LEDの電圧を基準にしましたので、入力の20Vを8.2kの抵抗と1kの半固定抵抗で分圧しています。MAX電圧の20.46Vを、LEDの1.68Vに分圧できればちょうど良いことになります。実験時には10kΩを使っていたのですが、実装したときには半固VRの誤差で調整できないCHがありました。そこで中途半端ですが、8.2kΩに変更しました。計算してみると、半固VRが0.9kΩの場合には10kΩでは合わせられません。8.
どのようにタップにボルト2kΩにすれば十分にカバーできる範囲となります。
なお、最初は入力に3Vのツェナーを入れていました。これは分圧してもなお過大な電圧がCPUに入らないようにと考えたのですが、ツェナーというのは3Vといっても、表示電圧よりも相当に低い電圧から電流が流れ始めますので、直線性の点からは無い方が良いと思い直して外しました。所々の写真でダイオードが写っていますが、今は付いていません。もしかすると、これも原因になって合わせられなかったのかもしれません。
3.作成
先ず最初に、LCDの裏にバックライト用の部品を取付けます。写真3のR7が取付けた電流制限用の100Ωです。また、R9はハンダを流してショートします。使用するLCDによって若干異なりますので、まずデータシートを確認して下さい。
いつもと同様に図2のような実装図を作ってから作っています。今回は、よほど外注で基板を作ってしまおうかとも思いましたが、「まだ早い」と思って止めました。従って、いつものようにジャノメ基板となっています。写真4のように基板を組み立て始めました。このまま電圧計になりますし、何かの機器に組み込んで表示しても良いでしょう。
ケースは使用せず、今まで何台か作りましたが、No.83のダイオード用カーブトレーサや、No.87の健康UPカウンタと同じ電池ボックスに貼り付けるヤドカリ方式にしました。写真5が貼り付ける前で、写真6のようにヤドカリ完成です。電源スイッチは電池ボックスのものを使っていますが、基板上に置いた方が作りやすいと思います。なお入力にはコネクタを用い、写真7のような外付けのクリップを作りました。なかなか使いやすいです。
どのようにビニールに接着ビニールに
4.ソフト
ソフトはBASCOM AVRを使って書いています。簡単なソフトですが、ここから(ソフトを)ダウンロードできます。A/Dコンバータを読んで、計算をしてLCDに表示する事を繰り返します。
このままでループを回すと速すぎてチラチラしますので、見やすいように300msのタイマーで遅延させます。このあたりはLCDの表示する反応スピードと好みにもよりますので、使いやすいようにソフトを変更して下さい。青地に白抜きのLCDを使っていますが、このタイプは表示の反応が遅いようです。従って遅めの300msに設定しています。使用するLCDによってもタイマー値は調整するのが良いと思います。
ICのデータシートを読むと、内部に2.56Vと1.1Vの基準電圧を持っています。ところがBASCOM AVRでの使用方法が解らず、使えていません。このあたりは、もっと上手な使い方があると思います。御存知の方は教えて下さい。
5.調整
簡単なものですが、調整が必要です。まず、入力に高めの電源を用意します。20Vが理想ですが、10V程度でも良いでしょう。1Vや2Vでは誤差が大きくなりますので、なるべく20Vに近い電圧を電源で設定し、この電圧計に入力します。基準となる信頼できるデジタルテスターをパラに接続し、この表示と比較しながら、同じ表示をするように半固VRを調整します。その後電圧を下げた時に同じ表示である事を確認しておきます。
ちょっと問題と思ったのですが、半固VRの調整がシビア過ぎでした。0.02Vまで合わせようとすると、僅かにドライバーを当てただけでジャンプしてしまいます。合わせられる範囲が広いと、細かい調整がし難くなります。これは精度にも関わってきますので、もう一工夫すべきでしょう。
同時に2チャンネルを調整してしまえば、チャンネル間の差も吸収できます。写真8がこのようにしてデジタルテスターと2チャンネルの調整をしているところです。写真ではデジタルテスターの方が見やすくなっていますが、カメラの露出の関係で、実際には見やすいです。光るものは写すのが難しいです。というより下手なだけです。
6.使用感
自作の電圧計で測ると、また違った感覚がありました。デジタルで電圧を表示するのを見ているだけで楽しくなってしまいます。「測定器の自作も趣味」と思いながら、電圧計は初めて作りました。極めてベーシックなのですから、今まで作っていなかったのは不覚でした。今後は、電圧の測定にテスターは不要、という事になるのかもしれません。
これで12Vを12Vと読むだけではなく、1Vとも100Vとも読める手段が確立できます。それどころか、ppmでも%でもkWでも表示できます。機器に入れた場合の表示も思いのままにできます。これは市販の電圧計ではできない事でしょう。ソフトで加減算もできますので、ポイント間の電圧差の表示などの応用も可能になってきます。つまり、低抵抗を使って前後の電圧を測る事で、電流計にする事も可能です。
このように、電圧計だけだと特に目新しいものではありません。しかし、応用が楽しみな電圧計となります。
0 件のコメント:
コメントを投稿